
中学生は存在自体が罪である。
僕は普通の中学生だった。成績は特に何もしなくても親にうるさく言われはしなかったし、所属していた吹奏楽部では毎日日が暮れるまで練習したりなんかして、なかなか楽しい中学生ライフを送っていたと思う。
僕の中学生活を更に盛り上げてくれたのは愉快な仲間達だ。バカばっかりだったけど。
隣の隣の隣のクラスにマサヒロって奴がいて、そいつとは小学生の時からよくバカな事をして遊んでたんだけど、ある日 村上龍の「69sixty nine」なる小説をタイトルだけ見て図書室から持ち出したらしく、「おいちょっとこれ見ろよ!シックスティナインだってよ!!」と本を掲げてニヤケ面で教室に入ってきたのを見て、奴は本当にバカなのだと確信したのを覚えてる。
学生運動が盛んだった1969年、学園のマドンナの「デモやらバリケードやらする人、好いとるもん」の一言を聴いて自分の学校に忍び込み、バリケードを築き上げようとするお調子者ケンが中心に描かれている。マサヒロが69を引っ張り出してくる前にそれを読んでいた僕としてはマサヒロとケンが重なって見えた。
だから、後日深夜に「今、学校の前にいるんだけど」と電話が掛かってきた時も僕はそう驚きはしなかった。共通点はバカってとこだけじゃなくて短絡的なところもそっくりだったんだ。
幸い僕の家から中学校の入り口までは100メートルと離れておらず(家から校庭まではなんとたったの15メートル!)夏休み前とはいえ8月の半ば並の寝苦しい夜の中でそれほど友人を待たせる事はせずに済んだ。
僕が到着したそこ、校門前の文房具屋兼駄菓子屋の前では、眠い目を擦る2人と1人だけ目を爛々と輝かせたマサヒロがジュース片手に今晩の計画について作戦を練っているところだった。
実はうすうす嫌な予感がしていた。69が聖典ならばマサヒロがする事はたった一つだったからだ。
「校長室に忍び込んで、机の上に、糞を垂れる」
(次回があれば)続く
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