そうなんです / 風船
おばあちゃんが笑みを浮かべながらこちらを見ている。口からは入れ歯がかすかに見えた。
「これは50%割引にならんかの」「なりません」
「じゅあこっちも」「なりません」
僕はバイトをしている。百貨店の地下で品出しや客の接客を少々だ。客はおばさん、おばあちゃんが大半を占めていて、女子高生とか都市伝説じゃないかと思うほどだ。それはもう上のようなやり取りを嫌というほどする。
お客様は神様だという言葉があるが、こんなちんけな神様いてたまるか、とその度に思っている。
しかし、おばさんたちはまだマシじゃないかと思うことがある。それ以上に子供が厄介なのだ。彼等はドタバタドタバタと売り場内を走り回る。どこからその元気は出てくるのだろうと思うほど、もうそれはそれはもう延々と何の面白みも無いこの場所で、はしゃぐ。
その光景を見る度に、一体この子の親は何をやっているのだと思うのだが、どうも最近の親というのはあまり子供をしからないらしい。
今日もどたばた一人の男の子が走り回っている。見たところ、幼稚園入学前ぐらい見える、その男の子は買いもしない商品に無駄に自分の指紋をつけて回る。もう本当に勘弁してもらいたい。気が散ってしょうがない。親の苦情が怖いから、心の中で言っておくが、ここでは誰も君の相手はしていられないんだよ。僕にだって仕事というものがあってね、今だってこうやって納豆を丁寧に並べようと・・・な、なにをする!!俺の並べた豆腐を叩くな!!
子供の足音がナンの売り場あたりで止まった。やっと止まったかあのクソガキと僕が安堵しているのも、つかの間、突然大声で
「うんこしたー!!」
と言い放った。
恐る恐る事件現場を覗いて見ると、うん、たしかにうんこしたね。茶色いものが床じゅうに散らばっていた。ここでその現場のことを詳細に記載するのはなにかと気分の悪いことなので、省略しておくとする。
しかしその時僕が「なんだこりゃー!!」と心の中で叫んだのはいうまでもないでしょう。そう、ナンだけに。
次のお題「なまけもの」




